篠山紀信展 写真力

横浜美術館
横浜美術館

生き写しなんて使い古された言葉しか浮かばないのは恐縮だが、被写体の方々が本当にそこに居るように感じる写真だった。
篠山紀信さんの写真の凄さはまず、日本人の大人なら必ずと言っていいほど、見たことのある写真が何枚かはそこにあることだ。それほどまでに篠山紀信さんの写真が多くの場面で使われてきたということになるのだが、その理由が昨日個展を拝見して少しわかった。

強く印象が残っている写真についていくつか記しておく。
まずGODというくくりで展示されていた展示で、今は亡くなられている方の写真に出会った。まさに出会うという感じ。寅さんこと渥美清さんと大原麗子さんと夏目雅子さんには実際にお会いしたような余韻が確実に残っている。きっとレンズの前に彼らが佇んでいた時のまま、その場の空気まで永久保存してしまったんだ。篠山紀信さんの写真はどれもそんな印象だった。

著名人以外の写真も一部あった。東北の震災直後の方々を撮影した演出なしのポートレイト。その中の一枚に強く惹かれた。若いカップルが強い意志を感じさせる眼差しでこちらを見ていた。負けないぞと言う覚悟が見ている僕にまで届く。目には見えない強い心の内まで写し伝える写真。今もあの目が忘れられない。
空気まで写すと言われるレンズがあるけど、心まで写せるとしたらそれは写真家の力だと思う。今更だけど篠山紀信さん恐るべしである。

横浜美術館「篠山紀信展 写真力」2月28日(火)まで

 

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