篠山紀信展 写真力

横浜美術館
横浜美術館

生き写しなんて使い古された言葉しか浮かばないのは恐縮だが、被写体の方々が本当にそこに居るように感じる写真だった。
篠山紀信さんの写真の凄さはまず、日本人の大人なら必ずと言っていいほど、見たことのある写真が何枚かはそこにあることだ。それほどまでに篠山紀信さんの写真が多くの場面で使われてきたということになるのだが、その理由が昨日個展を拝見して少しわかった。

強く印象が残っている写真についていくつか記しておく。
まずGODというくくりで展示されていた展示で、今は亡くなられている方の写真に出会った。まさに出会うという感じ。寅さんこと渥美清さんと大原麗子さんと夏目雅子さんには実際にお会いしたような余韻が確実に残っている。きっとレンズの前に彼らが佇んでいた時のまま、その場の空気まで永久保存してしまったんだ。篠山紀信さんの写真はどれもそんな印象だった。

著名人以外の写真も一部あった。東北の震災直後の方々を撮影した演出なしのポートレイト。その中の一枚に強く惹かれた。若いカップルが強い意志を感じさせる眼差しでこちらを見ていた。負けないぞと言う覚悟が見ている僕にまで届く。目には見えない強い心の内まで写し伝える写真。今もあの目が忘れられない。
空気まで写すと言われるレンズがあるけど、心まで写せるとしたらそれは写真家の力だと思う。今更だけど篠山紀信さん恐るべしである。

横浜美術館「篠山紀信展 写真力」2月28日(火)まで

 

お気に入りの個展の後は…

みうらのりこさんのエプサイトでの個展が昨日終了した。
2週間に渡る長めの個展だっただけに、お気に入りの写真にいつでも会いに行ける感じが嬉しかった。
でも逆に終わったあとの寂しさも長かった分だけのものがある。

そんな時、作家のWebサイトや写真集を見ることになるのだけど、みうらさんのサイトは個展の写真がすべて揃っているところが嬉しい。
個展の余韻を楽しみたい方、今回は見損なったという方、お薦めです。

Noriko Miura My photography

Bowie:Faces展 at 代官山 蔦屋書店

写真家を目当てに個展に行く事はよくあるけど、被写体を目的に開かれる写真展というのはあまり見たことがない。

それだけでもデヴィッド・ボウイの凄さがわかる。

ボウイについては自分が高校生くらいだったころに売れたレッツダンスの頃しかリアルタイムでは聴いていない。若い頃の僕には若い頃のボウイのルックスはぶっ飛びすぎていてカッコよさが分からなかった。今思えばそんな自分が残念だけど、若い頃の僕はきっと今よりずっと保守的だったんだと思う。

ボウイが年を重ねてそのルックスが渋くなっていく頃、僕も年を重ねいろいろなものを受け入れられる柔軟さが身についていき、気付くと彼のことを素直にとてもカッコ良い!と感じるようになった。

そんな感性が遅咲きな僕のような人間にとって、彼の瞬間瞬間を捉えて残してくれている写真の存在はありがたい。何をいまさらと彼は天国で笑うかもしれないけど、本当にカッコ良い人だ。

そんなわけでBowie:Faces展 at 代官山 蔦屋書店」を見に行ってきた。

CDジャケットで知っているデヴィッド・ボウイのポートレイトがオリジナルプリントで見られる事はありがたい。写真によっては思ったより粒子感が強かったり、逆に滑らかだったり、写真家の表現も垣間見られる。購入しようとしたら高価な写真も多かったが、それだからこそ写真展で見られて良かった。高価すぎて自分には関係ないと思うより、行って見てみることで、その価格の理由に触れて何かを感じる方を僕は選びたい。

個人的には鋤田正義さんの写真が以前から大好きなので、鋤田さんのオリジナルのボウイのプリントが見られただけで満足だった。

寺田倉庫で開催されている”David Bowie is”の巡回展も行って見たくなる写真展だった。