
仙台への久しぶりの旅で、JR仙石線の車窓から見える風景に、不思議な懐かしさを感じました。
それは単なるノスタルジー(nostalgia)とは違い、日本独特の「郷愁」という感覚のように思えます。
日本文化には「もののあはれ」「わびさび」「はかなさ」といった、一瞬の切なさや取り戻せない時間への感受性があります。
桜が散るまでのはかなさや、昭和の古い商店街の懐かしさ――それらが郷愁に重なって、「切ない懐かしさ」として心に沁みてくるのです。
車窓から見た駅のホームには、かつて多くの人が立ち、笑い、泣いた日々がありました。
今は誰もいませんが、その記憶や気配は確かにそこにあったと思います。
そんな思いが、僕に写真を撮りたいという気持ちを芽生えさせました。
この旅は、失われた時間の気配を写真に写しとめたいと願う旅でもありました。
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