COSINAからライカMマウントで使えるULTRON 75mm f1.9VMが発表された(発売は2月)。メーカー希望小売価格は税込11万円。ただ、さっき価格コムで見たら、9万円前後からありそう。オフィシャルサイトでセイケトミオさんが撮られた作例(モノクロ2点、カラー4点)が見られる。
最短撮影距離 50cm !!
仕様を眺めていてまず目につくのは「最短0.5m」の文字!最近ライカ本家も他のレンズメーカーもライカMマウントレンズの最短距離を縮めてきている。これはもちろんライブビューを使っての撮影に限られるのだけど、十分嬉しいことだ。これまではライカを持っていても、美味しい料理を撮ろうという時にはポケットからiPhoneを取り出すなんてことが残念な当たり前になっていたから。ちなみに僕が持っているCOSINAのHELIAR classic 75mm f1.8(2019年生産終了)は最短距離90cmだった。
軽い!短い!たった290g、たった54.1mm
HELIAR classic 75mmの重量427g、全長73.8mmに比べると明らかに軽くて短い。最近ではボディもレンズも小さくて軽いことがどれ程ありがたいか痛感している。体への負担が少ない上に、なんとなく目立たない気がするのか集中できる。(実際には目立っているとは思うけど。)
レンズのコーティングは2種類
レンズのコーティングはマルチ(MC)とシングル(SC)の2種類から選べる。外装もそれに合わせて2種類。MCはマットブラックペイント。SCはブラックペイント。僕はSCが欲しい!
キレの良さも優しいボケも
COSINAのレンズ紹介ページでは、レンズの開放付近で撮られたセイケトミオさんによる作例が見られる。レンズが気になる方は是非!
COSINAのレンズ紹介ページ。
一枚目のモノクロームでため息が出た。ここを撮ると決め、一人きりでファインダーを覗き、被写体と対峙する撮影者の存在が写真のこちら側に感じ取れたから。その息遣いも周囲の静かな空気も、写っている以上のものが写真から感じ取れたから。これは以前からセイケさんが多くの銘玉、特にライカのレンズで撮られてきた写真を見るときに感じた感覚と同じだ。つまり、このレンズもまた、セイケさんを納得させてシャッターを切らせるレンズとして十分なものということだろう。
二枚目のモノクロームはアウトフォーカス部の葉っぱたちが穏やかにボケている様が心地よい。クセのないボケは使いやすそうという印象。
三枚目の写真では枯れ葉の乗っている部分の水の質感がとろりとしている。水って空気みたいに形がないものだけど、この写真の水は形があるかのように存在感を感じる。撮影上の技の高さもさることながら、レンズの描写力も素晴らしいのだろう。これもモノクロームで見たみたかったなぁ、なんて個人的に思う。
四枚目では水に代わって鏡やガラスが素敵。そして明暗も上手に写し取っている印象。
五枚目では少しレンズの印象が変わった。マネキンの顔の輪郭がくっきりと出ていて、それまでの優しい印象からキレの良いレンズという印象に変わった。マネキンの硬い冷たい質感が出ているせいだと思う。光の選び方、被写体によって、レンズの印象が変わることに少し戸惑う。
最後の写真でも、やはりキレの良さが印象に残った。シャツの輪郭がクッキリとしている。布の表面のちょっとした皺もリアルで手触りが伝わってくる。ただ、その一方で後方の窓の外の緑のボケも、手前にあると思われるガラス面の光のボケも優しい感じだ。キレとボケの優しさが同居している。
焦点距離75mmはいい塩梅で距離を詰めてくれる
焦点距離75mmのレンズは撮影していて、あと一歩近寄れない時に、50mmレンズでは埋められない距離を詰めてくれる。それに50mmレンズに比べて焦点距離が少し伸びただけなのによくボケる。だからHELIAR classic 75mm f1.8でも、最近試しているSIGMA DP3 Merrill(開放でf2.8)でも、十分素敵なボケを楽しめる。オフィシャルサイトの作例を見れば分かるが、このレンズも開放f1.9だけれど、間違いなくボケは使える。
使い手次第でポテンシャルは広がっていく
小さくて軽量なのに、キレもボケも楽しめてよく写る。それでいてライカの75mmのレンズよりもずっとリーズナブル。50mmや35mmの次に買うにはとても良い選択肢の一つになる。そう書くと誰にでも優しいレンズのように聞こえる。しかし作例を見ると、誰でも同じ写真が撮れるというよりは、撮る人の考えや技量によって、そのポテンシャルが大きく広がるレンズだという印象を受けた。
最近、COSINAとSIGMAが大好きだ。
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