2016

ダブリンの街角
Leica M240 / summilux-M 50mm ASPH

初めてのヨーロッパは2016年。
その時すでに50歳。思春期の感性もフットワークも、もはや持ち合わせてはいなかったけれど、ちゃんとワクワクはしていたみたいです。最近になって当時の写真フォルダを見返してみると、整理するのも嫌になるくらいの数のシャッターを切っていたことが分かりますから。さぞ見るもの全てが魅力的だったのでしょう。

その頃といえば、好きになり始めたばかりのモノクロ写真の少しアンティークな雰囲気を出せないかと、東京の街で撮りまくっていた頃です。でも憧れていたモノクロ写真の多くはヨーロッパで撮られたもので、アンティークな雰囲気と合わせてヨーロッパ的な要素も必要でした。だからその雰囲気を東京で出そうとしたところで無理があったのです。半日歩いても気に入った写真は1枚か2枚。今日は1枚も良いのなかったなぁ、なんて日もしょっちゅうでした。そんな状態だったので、初のヨーロッパ旅行で街のどこを歩いてもヨーロッパ!(当たり前ですが)という写真が撮れてしまうことに興奮するのも当たり前でした。

その後、自分はなぜ写真を撮っているのか?とか、写真を通して何を伝えたいのか?とか、何やら難しいことを考えるようになるにつれて、この写真の頃のただただ楽しくてワクワクする感覚を忘れていたように思います。誰かに頼まれて仕事で撮っているわけでもなく、自由に撮りたい写真を撮れば良いわけなのですが、いつの間にか肩に力が入ってしまっていたみたいです。憧れる気持ちに突き動かされ撮り歩いてだけだったのに…、初心を持ち続けることは難しいものですね。

さて、来年の6月に、声をかけてくださった東京代官山のギャラリーで展示をさせていただく予定があります。その時には、初心に帰って自分の好きな写真ばかりを並べるというのも良いのかもしれません。まだ時間があるので、立派なテーマが浮かんじゃうかもしれませんが、まずは自分が楽しむことは忘れずにいようと思います。

写真は、撮られた人だけでなく撮った人にとっても当時の気持ちを思い出させてくれるところが良いですね。

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