夕方、たどり着いたパン屋さんのようなカフェ。
席に着くと目の前には、昔よく見かけたような歪んだガラスがありました。
その向こうには、昭和の学校の給食室みたいな風景。
ステンレスの質感と、あたたかい照明。
コロッケパンをかじりながら、しばらくぼうっと眺めていました。
ガラスに映る灯りと、ガラス越しの部屋。
境界が曖昧になっていくうちに、
それはもう現実というより、絵のように見えてきて…
これは撮らせてもらわずにはいられませんでした。
RAWでも十分に雰囲気はあったのです。
でも、もう少し昭和レトロな湿度を足したくなりました。
暗部を少しだけ持ち上げて、
ハイライトをほんのりオレンジに、
シャドウにはわずかに青を。
いつもの通り、彩度はむしろ抑え気味。
コントラスト、明瞭度、テクスチャーも下げています。
なのにどこかこってりとした色に。
最後にトーンカーブで、全体を少しだけ重くしたせいでしょうか。
実は、一度はレタッチを重ねすぎてノイズが増えて、やり直し。
整えすぎると、今度は雰囲気が薄まってしまい、またやり直し。
うっかり追い込もうなんて思うと、写真はいつも、その間を探す作業になってしまいますね。
やりすぎないところを探すために、やり続ける。そんな感じでしょうか。
歪んだガラス越しの風景は、
少し嘘っぽくて、でも懐かしくて。
写真というより、どこか記憶の中の絵のようでした。

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