
これまで、35mmという画角にはいくつかのレンズを通して触れてきました。 例えば、f2.8とf3.5のSUMMARON(ズマロン)。そして、レンズ一体型カメラのLEICA X2(換算36mm)。
同じ35mmでも、手に伝わる感触はそれぞれ微妙に違います。 2本のズマロン同士で比べても、僕の中ではf2.8の方が少し線が細い印象で、逆にf3.5の素朴な描写の方が不思議としっくりきたり。X2のレンズ(Elmarit 24mm f2.8 ASPH.)は、ズマロンとは違って逆光にも思いの外強く、時々ハッとするほどシャープな写りを見せてくれました。
そんな遍歴を経て、いま手元にあるのがこのレンズ、Voigtlander Nokton Classic 35mm f1.4 SCです。
50mmのような感覚で撮れる35mm
やはり、開放値がf1.4であること。これが僕にとっては決定的に重要なポイントでした。
僕にとってのホームグラウンドは、明るい50mmレンズです。 背景を整理し、深度を操るあの感覚。 このノクトンを使っていると、35mmという広さを持ちながらも、いつもの50mmレンズで撮っている時と同じような「深度の感覚」で撮影ができるのです。これが、このレンズを使っている時の心地よさの正体なのだと思います。
もちろん50mmほどボケ量は大きくありませんが、それでも十分に「ボケを活かした表現」が可能です。
SC(シングルコート)の味わい
また、ノクトンクラシックにはSC(シングルコーティング)とMC(マルチコーティング)の2種類が存在しますが、今回お借りしている個体はSCモデル。よりオールドレンズ的な写りが期待できるのも魅力です。
僕は同じNokton classicの40mmも持っていますが、そちらはMCでした。今回初めてSCを使ってみて、フレアやゴーストがふわりと現れる楽しさを味わっています。
「Summilux(ズミルックス)は高価で手が届かないから、安いノクトンを選ぶ」 そんな消去法で選ぶレンズではありません。 その写りや、50mm使いの手に馴染む感触の良さにおいて、積極的に選びたくなる一本です。
Nokton classic 35mm f1.4 sc の写真はこちら
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