【Leica X2】 不便さが、ぼくらの目を自由にする。
2012年に生まれた、APS-C単焦点コンデジ Leica X2を、いま使うということ。 それは、最新の技術が競い合っている「スピードの競争」から、ひょいっと降りてみることです。
数値やスペックの階段を降りて、地面に足をつけてみると、今まで見えなかった「本質」のようなものが、ころがっていることに気づきます。
私にとってLeica X2は、ただの古いデジカメではありません。 これは、手のひらに収まる「もっとも小さなM型ライカ」なんです。
空を見上げ、光を感じたら、指先でダイヤルをカチカチと回す。「今日はこれくらいの明るさかな」と、カメラと相談する。その所作は、面倒な「設定という労働」ではありません。それは、写真を撮るための大切な「準備運動」のようなものです。
ズームレンズ? そんなものはいりません。 遠いなら、歩いて近づけばいい。 オートフォーカスが遅い? 待てばいいんです。 現代のカメラが忘れてしまった「待つこと」や「考えること」の豊かさが、この小さな金属の塊には詰まっています。
そして、シャッターを切る。 写し出されるのは「ハイコントラスト・モノクローム」の世界。 そこにあるザラついた粒子は、単なるノイズではなく、かつてのフィルムの粒状性(グレイン)そのものです。
記録するだけなら、スマホで十分かもしれない。 でも、「記憶」を残したいならこんなカメラが良いかもしれません。 便利さに頼らず、自分の目と、足と、感性で切り取った一枚は、きっとあなたの人生の栞(しおり)になるはずですから。
Leica X2 主要諸元(更新版)
■ レンズ・光学系
レンズ: ライカ エルマリート f2.8/24mm ASPH.
焦点距離: 24mm(35mm判換算:約36mm相当)
レンズ構成: 6群8枚(非球面レンズ1枚)
絞り: F2.8 – F16(1/3EVステップ)
撮影距離: 30cm ~ ∞
■ センサー・記録
センサー: APS-Cサイズ CMOSセンサー
有効画素数: 1620万画素
ISO感度: オート、ISO 100 – 12500
記録形式: DNG (RAW)、JPEG
■ フィルムモード(JPEG設定)
カラー:
標準(Standard):忠実な色再現
ビビッド(Vivid):彩度とコントラストを強調
ナチュラル(Natural):落ち着いた発色
モノクローム:
モノクローム ナチュラル(B&W Natural):階調豊かな白黒
モノクローム ハイコントラスト(B&W High Contrast):粒状感とコントラストを強調
■ 操作・機能
シャッタースピード: 30秒 – 1/2000秒
連写性能: 最大5コマ/秒
液晶モニター: 2.7型 TFT液晶(23万ドット)
フラッシュ: ポップアップ式(円筒型)
■ サイズ・重量
寸法: 約124 × 69 × 51.5 mm
重量: 約345g(バッテリー含む)/約316g(本体のみ)
材質: マグネシウム合金、アルミニウム、レザー外装