いよいよお借りしていたSIGMA DP3 Merrillをお返しする日、ディスクも初期化して、点検もして、準備完了!と思ったところで壁の光が目に入ってしまいました。冬の午後の柔らかい光が家の中に差し込んでいたのです。やはり悔いのないように最後にもう1枚だけ撮らせてもらいました。
お借りしていた期間、たくさん写真を撮りながら、このカメラが得意なこと苦手なことを探ってきました。大体ではあるけれど、自分が使うならどういうものを撮るだろうということも分かってきたつもりでした。でもこの光を見た時に今更ながら、柔らかい描写というチャレンジを早々に諦めていたことに気づきました。硬質な描写は本当に得意なカメラで、ハマるものを撮れば、そのものの存在感が際立ちます。その部分の魅力が強すぎて、いつしかふわっと柔らかに撮るということを忘れていたのです。
上の写真はDP3 Merrill。開放で距離はドアの取手まで1mほど。下の写真はほぼ同じ位置からライカのオールドレンズSummitar 50mmで絞りf2.8にして撮影。DP3が焦点距離75mm(35mm換算)でSummitarは50mmなので、下の写真はトリミングしてサイズをほぼ揃えてみました。
上の写真だけを見れば、思いのほかハートを半分に割ったような形の光の輪郭がなだらかに優しくボケているように見えます。ただ見比べてしまうと、ブログの写真は小さいので違いが分かりづらいかもしれませんが、やはりSummitarの方がさらに優しい描写のように見えました。光だけでなく写真右側にある柱の描写を見ても違いは感じます。DP3の方がコントラストが強くしっかり写っているようです。さらにピントが合っている周辺の木のドアの表面の描写もDP3の方が細部まで写っていました。女性のポートレートなどを優しい雰囲気で撮りたい時などは少しDP3は不利かもしれません。表面の小さな凸凹まで写りすぎるのはちょっとね、なんてこともありそうですから。
もちろん、これらはカメラの性能としてどちらが良い悪いの話ではなく、絵筆の違いみたいなものです。好みや場面で使い分ければ良いだけのことです。それにこの辺りのことは、MerrillからQuattroになる時に変わっているかもしれません。
こうして、お返しする最後の最後まで、僕の好奇心を刺激し続けてくれたSIGMA DP3 Merrillでした。本当にお世辞抜きで楽しい時間でした。いつかfoveonセンサーを積んだカメラを自分でも持ちたいと強く強く思っています。
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