少年と海 / CineStill 800T

少年と海
M240 / CineStill 800T / Noctilux 50mm f1.0

 何歳くらいの少年だったのだろう。もう陽が沈んだ後で、表情は良く見えない。それでも、体の大きさの割にとても大人びて見えた。うちの近所のサッカー少年や野球少年とはどこか雰囲気が違う。一人で大きな自然と向き合う時間がそうさせるのか。
 海の近くで育っていたら…。ふと、自分にも今とは違う人生を生きる時間があったかもしれないと思うと、何かを失い続けているような気分になった。もちろん、そうなったら今あるものを失うわけで、一つの人生しか生きられぬ不便さを思った。

 さて、相変わらず CineStill 800Tです。今回も自宅でスキャンして、LightRoomで仕上げています。
 フィルムをデジタル化する方法として、これまで幾つかの段階を経験しました。初めはフィルムを現像したお店にお願いしてスキャンしてもらうという方法。次は自宅で自分でスキャンして、ファイル形式をpsdにして出力し、さらにphotoshopで調整するという方法。
 そして最近はスキャニングの際にネガの状態のRAWデータを作り、それをLightRoomなどのトーンカーブを使い反転してポジデータにするというもの。(やり方はネットであちこち調べながら試行錯誤しているところです。)面白いのは、この方法だと、トーンカーブの調整によって色味についてはかなり自由度があることです。この写真では、青空や海の青の中に、夕暮れのオレンジ色やピンク色が残るように、トーンカーブで丁寧に調整しました。何かの色を強く出そうとする、同時に何かの色が失われ…。でも、それはトーンカーブを上手に使えれば、ちゃんと出すべき色を出せるということです。
 これまでフィルムをデジタルにする時には、各フィルムが持っている色味の特徴が正しい色だと思っていたので、そのフィルムが出しそうな色に近づくようにと考えながら微調整していました。でも実際にやってみるとトーンカーブの使い方によっては色はどうにでも変わるので、逆にフィルムが持っている色味の特徴は関係なくなってしまうのかもしれない?という疑問が湧いてくるほどです。デジタルの場合も、センサーが違ってもRAWなら同じように調整できると聞いたことがあるのですが、それと同じ理屈なのでしょうか。粒子感とか滑らかさとか、もちろんフィルムの特徴がそのまま反映される部分もあるのでしょうが、こと色についてはかなり自由度が高いと感じます。

 LightRoomだの、トーンカーブだの、なんだかデジタル写真の話みたいになってしまいました。これではデジカメで良いじゃんと言われてしまいそうなのですが、今回はフィルム写真の可能性を感じたというお話でした。暗室経験もないのに、こんなに楽しいフィルム写真。まだまだ楽しみが待っていそうです。

©️All rights reserved.

コメント

タイトルとURLをコピーしました