肩の力を抜いて、ズマールと歩く

冬の光は弱くて、
でも、今はその弱さがありがたいのです。
僕の撮りたい光と影を見せてくれるから。

2025年前半、
写真展の準備で肩に力が入っていた頃は、
「良い写真を撮らなければ」と気負ってばかりでした。
印象に残る光を追い求めては、格好をつけようとする自分がいて、
カメラを構えると、どうしても力んでしまっていました。

今思えば、ひどく窮屈な季節でした。

道端の花
M240 / Summar 50mm f2.0

ズマールは歩くテンポをゆっくりにしてくれます

ズマールは少し気まぐれで、扱いにくいレンズです。
不要な光が入ればすぐに白く飛んでしまいますし、
フレアも唐突に現れます。

でも、そこが良いと感じているんです。

丁寧に光を読んで、吟味して、
無駄にシャッターを切らなくなります。
この日は、たった9枚だけでした。

ノクティルックスで1,000枚撮った自分を思い出すと、
笑ってしまうくらい静かな一日なんです。

立ち止まるから見える影があります

午後の光と影
M240 / Summar 50mm f2.0

しゃがみ込んだ瞬間や、
川沿いを歩いた足音、
冬の風の匂い。

見返した写真の向こうから、
そういった記憶が立ち上がってくるんです。

作品にならなくて良いのです。
今の自分にはそれがちょうど良い気がしています。
呼吸のように、自然に静かにシャッターを切った、そんな写真なのかなぁ、と思います。

控えめなレンズの、少しじゃじゃ馬な光

目黒川
M240 / Summar 50mm f2.0

ズマールは小さくて控えめです。
でも写りは時に暴れん坊で、予測不能。

その気まぐれさが、撮影をゆっくりにしてくれて、
油断を許さないまま、立ち止まらせてくれます。

最新レンズの優等生さではなく、
古い友人のように、手のかかる相棒なんです。

今は、これで良いと思っています

派手さはないけれど、
力が抜けた今の写真も撮り方も、
悪くないと思っているのです。

冬の光に感謝して、
小さなレンズと歩く。

もうしばらくは、
このズマールと静かに歩きながら、
撮れるものを撮っていきたいと思っています。


機材

  • Leica M240
  • Summar 50mm f2.0

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