冬の光は弱くて、
でも、今はその弱さがありがたいのです。
僕の撮りたい光と影を見せてくれるから。
2025年前半、
写真展の準備で肩に力が入っていた頃は、
「良い写真を撮らなければ」と気負ってばかりでした。
印象に残る光を追い求めては、格好をつけようとする自分がいて、
カメラを構えると、どうしても力んでしまっていました。
今思えば、ひどく窮屈な季節でした。

ズマールは歩くテンポをゆっくりにしてくれます
ズマールは少し気まぐれで、扱いにくいレンズです。
不要な光が入ればすぐに白く飛んでしまいますし、
フレアも唐突に現れます。
でも、そこが良いと感じているんです。
丁寧に光を読んで、吟味して、
無駄にシャッターを切らなくなります。
この日は、たった9枚だけでした。
ノクティルックスで1,000枚撮った自分を思い出すと、
笑ってしまうくらい静かな一日なんです。
立ち止まるから見える影があります

しゃがみ込んだ瞬間や、
川沿いを歩いた足音、
冬の風の匂い。
見返した写真の向こうから、
そういった記憶が立ち上がってくるんです。
作品にならなくて良いのです。
今の自分にはそれがちょうど良い気がしています。
呼吸のように、自然に静かにシャッターを切った、そんな写真なのかなぁ、と思います。
控えめなレンズの、少しじゃじゃ馬な光

ズマールは小さくて控えめです。
でも写りは時に暴れん坊で、予測不能。
その気まぐれさが、撮影をゆっくりにしてくれて、
油断を許さないまま、立ち止まらせてくれます。
最新レンズの優等生さではなく、
古い友人のように、手のかかる相棒なんです。
今は、これで良いと思っています
派手さはないけれど、
力が抜けた今の写真も撮り方も、
悪くないと思っているのです。
冬の光に感謝して、
小さなレンズと歩く。
もうしばらくは、
このズマールと静かに歩きながら、
撮れるものを撮っていきたいと思っています。
機材
- Leica M240
- Summar 50mm f2.0
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