ズマールを頻繁に使うようになって随分と時間が経ちました。
飽きるどころか、むしろ深みに入っている感覚があります。
今回は、逆光気味に撮ったバラの写真の現像について書いてみます。
強い日差しとズマールの相性
この日は昼過ぎの時点で気温は20度近く。
日差しは春というより初夏のようで、正直「今日はズマール向きではないな」と思いました。
このレンズは少し光の向きを間違えるだけで、すぐに白くかぶってしまいます。
日差しが強い日は特に気難しくなります。
案の定、失敗写真が多く、いつもより枚数も増えました。
生き残ったのは数カットだけでした。
そのうちの一枚が、乃木坂の旧乃木希典邸で撮ったバラです。
首を垂れる姿が、どこか乃木将軍のイメージと重なりました。
午後3時近く、やや弱まった光を逆光気味に入れながら、白くかぶりやすい弱点を逆に「白いベール」として使えないかと考えました。
同時に、ズマールらしいボケの粒立ちも残したい。
そんな少し欲張りな条件を抱えながら、地面に落ちる光の位置と花の位置を微調整し、十枚ほど撮影。その中の一枚がこれです。(RAWからそのままJPGへ)

カラー現像の方向性
最近のズマールは、基本的に
・コントラスト低め
・彩度低め
・色温度はやや暖かめ
この流れで仕上げています。
今回もその延長線上で調整を始めました。
地面のハイライトの滲みと、ボケの粒感がこのレンズの魅力だと感じているので、そこを殺さないように意識しました。
最初に仕上がった現像は悪くありませんでした。
でも、オリジナルと並べると違和感がありました。
整っているけれど、ボケの一粒一粒の独立感が弱まっている。
光が「面」になってしまっているように感じたのです。
やり直しと不透明度47%
そこでやり直しです。
とはいえ大きな調整はしていません。
レタッチしたレイヤーの不透明度を47%に下げただけです。
つまり、レタッチの効果を100%見せず、オリジナルとブレンドするということです。
47%という数字に根拠はなく、目で見て気持ちよかった値がそれだったというだけです。
この操作で、オリジナルの粒感が戻ったように感じました。整えようとすればするほど、ズマールらしさが消えていくようでした。
ちなみにこのところの現像では、Color EfexやAnalog Efexも試しましたが、最終的にはほぼCamera Rawのみで仕上げる形に落ち着いています。
余計なことするな!と写真に言われている感じです。笑

今回のカラー現像で感じたこと
ズマールは、完成度を上げようとしすぎると魅力が薄れる。
少し足りないくらいで止める。
レンズの癖は残す。
今の僕の好みは、「足す」より「引く」で整えた一枚のようです。
※このレンズへの想いや歴史についてはnoteにエッセイとして綴りました。そちらも是非。
note:ズマールというレンズと、光との付き合い方
モノクロにしてみたくなった理由
ここで、もう一つの欲が湧いてきました。
このボケを見ていたら、「モノクロにしたら面白いのでは?」と思ったのです。
数万円のレンズで、数十万円クラスのレンズの写りに近づけられたら楽しいな、という少し遊び心もありました。
モノクロにする時のイメージは、
・コントラストを強くしすぎない
・黒を締めすぎない
・ハイライトを立てすぎない
フィルムのような柔らかさを意識しつつ、色味はセピア寄り。
かなり緩やかなゴールを決めて始めました。
今回もCamera Rawのみで調整します。Silver Efexはお休みです。
うまくいったはずのモノクロと違和感
実際にレタッチを始めると、カラーの段階でコントラストを下げていたため、ここでは逆に黒をある程度締める必要がありました。
コントラストをわずかに上げた分、明瞭度とテクスチャーはさらに少し下げています。
セピア寄りの色付けは、カラーグレーディングで目を頼りに調整しました。
画面では自然でも、プリントすると緑がかって見えることもあり、まだ微調整の余地はありそうですが、一旦ここで区切りました。
仕上がりを見て、「これはうまくいったかもしれない」と正直思いました。
ノクティの写真に近い雰囲気にも感じられて、自画自賛気分です。

そこで、カラーと並べて見比べてみます。
並べて見えてきた答え
まずカラー。
ズマールらしい光の滲みが空気感を作っていて、白いベール、葉の縁の発光、ボケの一粒一粒がきちんと「ズマールで撮った写真」になっていると感じました。
HDRっぽさもなく、レタッチが前に出ている感じもしません。
もともとそこにあったものを整えただけ、そんな印象です。
一方でモノクロ。
好みの写真にはなっていますし、迫力もあります。展示用ならこのままでも良さそうです。
ただ同時に、「ズマールらしさが少し消えてしまった」という違和感がありました。
ノクティをイメージして仕上げたのですから、それも当然かもしれません。
モノクロだけを見ると嬉しいのですが、並べてみると、今やりたいのはカラーの方なのだと気づいてしまいました。
ズマールを取り戻す仕上げへ
そこから再び、コントラストを下げ、締めた黒を戻し、白いベールがふわっと戻るように微調整を重ねました。
細かな数値は覚えていませんが、カラーの仕上がりを横に置きながら、ズマールらしさを取り戻すことだけを意識しました。
結果としてインパクトは弱くなったと思います。
先ほどのモノクロの方が好まれそうな気もします。
それでも、今はこの仕上げの方が好きなのです。

レンズごとに仕上げを考えるということ
今回のことで、撮り方だけでなく、レタッチや仕上げ方もレンズごとに考える必要があるのかもしれないと感じました。
カラーのRAWをモノクロにした時点で、かなり人工的な操作をしているわけですから、調整すればするほど失われるものがあるのも当然です。
もちろん、それを理解した上で作り込むのも一つの表現です。
ただ今回に関しては、
白くかぶりやすい弱点を「白いベール」として活かし、
同時にズマールらしいボケの粒立ちを残す。
そのことを感じさせる仕上げを選びました。




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